同時廃止、管財事件とは何ですか。

管財事件とは

 破産手続は、破産を申し立てた人の財産(不動産、自動車、保険など)をお金に換えて、債権者に平等に配る手続です。
 そうすると、実際に不動産屋に不動産の売却を依頼して、売買代金を受け取って、債権者に振り込むというのを誰がやるのかという話になりますが、これをやるのが破産管財人です。
 破産管財人は、事件ごとに裁判所が選任しますが、選任されるのは弁護士です。
 どの弁護士を選ぶかは、裁判所が決めるので、破産を申し立てる人が決めることはできません。
 なお、破産を申し立てるときに、弁護士を依頼することが多いですが、このときは破産を申し立てる人が自分で探して依頼する必要があります。これを申立代理人弁護士といいます。
 申立代理人弁護士は、破産申立書等を作成して裁判所に提出するのが業務ですが、破産管財人の業務は破産を申し立てた人の財産(不動産、自動車、保険など)をお金に換えて、債権者に平等に配る手続を進めることなどです。
 申立代理人弁護士が破産管財人に選任されることはありません。
 申立代理人弁護士に対しては、破産を申し立てた人が依頼するので、破産を申し立てた人が自分で弁護士費用を負担することになります。
 破産管財人の報酬は、裁判所が破産管財人に支払いますが、破産を申し立てる人がその費用を裁判所に予納しなければ破産手続を進めてもらえないので、破産を申し立てる人が費用を負担することになります。

同時廃止

 破産手続は、破産を申し立てた人の財産(不動産、自動車、保険など)をお金に換えて、債権者に平等に配る手続です。
 実際に、実際に不動産屋に不動産の売却を依頼して、売買代金を受け取って、債権者に振り込むという業務を行うのは破産管財人です。
 しかし、お金に換える財産がないというケースもあります。
 そうすると、破産管財人を選任してもやることがなく、そもそも破産管財人を選任する意味がありません。
 このような場合には、破産管財人が選任されません。
 破産管財人が選任されない場合には、破産手続開始決定が出ると同時に、手続の廃止決定が出ます。
 そのため、破産管財人が選任されない場合を、同時廃止といいます。
 同時廃止の場合は、破産管財人に対する報酬(予納金)を納めなくて良いので、費用が少なくて済みます。
 なお、破産管財人の業務は、財産の換価、配当だけではなく、免責調査もあります。
 そのため、財産がなくても、免責不許可事由があり、その調査が必要な場合には、破産管財人が選任されます。
 破産法では、破産管財人を選任することが原則になっています。
 もっとも、日弁連消費者問題対策委員会の調査では、管財事件28.71%、同時廃止68.95%となっています(2020年破産事件及び個人再生事件記録調査30頁)。
 破産申立て前に、弁護士が細かいことを色々と質問して、資料の収集を求めるのは、なるべく同時廃止にしてもらえるよう調査を尽くしていることなども理由です。