自己破産すると財産は全て失いますか。

 破産手続は、破産を申し立てた人の財産をお金に換えて、債権者に平等に配る手続です。
 そのため、自己破産申立てをすれば、財産を失います。
 しかし、生活に必要な財産は残すことができます。

自由財産

次の財産は残せます(自由財産と言います。)。
①破産手続開始決定後に新たに取得した財産(破産手続開始決定後の給与、年金など)
②差押禁止財産(衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具、業務に欠かせない器具など)
 そのほか、確定拠出年金法第32条第1項の適用を受ける確定拠出年金。
③一身専属権
 慰謝料請求権、遺留分侵害額請求権、財産分与請求権(但し、いずれも権利が具体化すると残せない。)
④99万円以下の現金

自由財産の範囲の拡張

上記の財産の他、下記の財産については、裁判所の決定を受けて残せることが多いです。
①残高が20万円以下の預貯金(全ての口座の残高の合計が20万円を超えると全額残せないのが原則ですが、事情により残せることもあります。)
②見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金(保険が複数ある場合は解約返戻金の合計額が20万円を超えると全額残せないのが原則ですが、事情により残せることもあります。)
③査定額20万円以下の自動車
④破産申立時点で退職したと仮定した退職金見込額の8分の1が20万円以下である場合、その全額
⑤破産申立時点で退職したと仮定した退職金見込額の8分の1が20万円以下である場合、その8分の7

 上記以外の財産でも、特別な事情があれば残せる場合があります。
 なお、不動産は基本的に残せません(但し、例外的に共有など換価が困難な場合には、相当額の現金を破産管財人に支払って、不動産を放棄してもらうことで、残せる場合もあります。)。