親、知人、勤務先からの借り入れだけ返して良いですか。

 債務整理について弁護士に依頼した後は、各債権者への返済を全て止めてもらいます。
 このときに、親、知人、勤務先などへの返済のみ続けることを希望する方がいらっしゃいますが、特定の債権者にのみ返済を続けることは避けるべきです。

否認

 債務整理について弁護士に依頼した後、親、知人、勤務先など特定の債権者にのみ返済すると、破産手続開始後に、破産管財人から、返還を求められる可能性があります。
 また、管財事件になる可能性も高くなります。

破産法第162条 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
 イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。

免責不許可事由

 特定の債権者のみに対する返済は免責不許可事由にも該当する可能性があります。

破産法第252条 
 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
 ・・・
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与
 又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないもの
 をしたこと。