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破産申立前に預貯金、保険や不動産の名義を妻に移そうと思いますが、問題はありますか。
免責不許可になる可能性があります。
また、破産管財人から妻に対して、移転した財産の返還を求められ、これに応じないと訴訟提起される場合があります。
既に預金、保険や不動産などの財産を家族などに移転してしまったという場合には、破産申立て前に弁護士と協議し、対処しておく必要があります。
免責不許可事由
自己破産申立ては、借金を0にすること(=免責許可決定を得ること)を目的に行うのが通常です。
しかし、破産法では、一定の場合には、免責を認めないこととしています。
これを免責不許可事由と言います。
破産申立直前に財産を親族等に移転することは、免責不許可事由に該当する可能性があります。
破産法第252条
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
否認
破産手続は、破産を申し立て人の財産をお金に換えて、債権者に平等に配る手続です。
破産申立前に財産を全て妻に移転してから破産を申し立てようと考える人もいると思いますが、それを認めると破産の制度自体が無意味なものになります。
そのため、支払停止やその6か月前に行った無償行為等について、破産管財人は、その無償行為の効力を否定し、無償譲渡された財産の返還を求めることができます。
なお、支払停止やその6か月前に行った無償行為等以外でも、財産隠しのようなことをしたり、特定の債権者にだけ返済したりすると、後で効力を否定される場合がありますし、場合によっては免責不許可事由に該当する可能性もあります。
破産法第160条第3項
破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。